安倍晋三 沈黙の仮面 野上忠興

稀代の“独裁者”として毀誉褒貶の激しい安倍首相。自ら公言するように、祖父・岸信介を深く尊敬し、保守思想に深く傾倒する。その特異な思想や政治手法には彼の生い立ちが深く関わっている。父母と離れて生育し、祖父と教育係の女性に依存し、勉学を嫌って奔放に育った。父との確執を抱えて政界入りし、総理大臣に上り詰めるまでの軌跡を圧倒的な取材と、本人、家族、友人らの証言で余すところなく描く。
第1章 父母の愛に飢え、中学性まで教育係のふとんで寝た少年
第2章 高級車と麻雀に熱中した学生時代
第3章 挫折した米国留学と就職、そして政界入り
第4章 置いてけぼりだった“政策新人類”の葛藤
第5章 実は遅かったタカ派への転身
第6章 「拉致の安倍」の嘘と隠された体の変調
祖父・岸信介に対する尊敬の念と岸信介の功績を肯定しているが故に、岸信介に対する安保反対デモに対する憎悪と自分の信念に反対する者に噛みつく性分から、安保法制を巡る国会審議での不規則発言をしたり反対意見に謙虚に耳を傾けない議論を拒否して自分の信念を一方的に述べるキレる安倍のルーツがある。
安倍の議論スタイルが学生時代から進歩していないのは、安倍が正しいと信じる憲法や安保法制の考え方が岸信介の教えだけで構築されていて、政治史や思想史や法学の知識に裏打ちされたものではない。
国会での討論も、自分の信念を一方的に述べるだけで議論の中でお互いの一致点や妥協点を見つけるスキルがない。安倍晋三の父に対する反発やコンプレックスから、官僚に対する反発がある。
安倍の保守主義のベースになったのは、西部暹。だがそれは岸信介が押し進めた保守主義が正しいと後付けするための知識吸収で、父が第二次世界大戦という戦争に対する懐疑的な姿勢に対する反発がベースにあり、安倍晋三の戦前回帰志向の根っこにある。政界での立ち位置に苦労していた安倍が見出だしたのは、超タカ派政治家という看板だった。
北朝鮮の拉致事件に対する強硬姿勢が支持され、安倍は強硬姿勢にこだわるようになった。北朝鮮の拉致事件に対する強硬姿勢しかアピールポイントがないので、短期間に強引に実績を挙げようとしている。だが、北朝鮮の再調査の回答が帰ってこず、安倍は拉致問題の解決が足踏み状態になっている。
結局、退任するまで拉致事件を解決出来なかった。
安倍晋三を長年取材してきた著者だから書けるルポルタージュでした。

daiyuuki 全身当事者主義

全身当事者主義。ワーキングプアや毒親やブラック企業などのパワハラやモラハラに苦しみ戦い続けてきた立場から書いた、主にメンタルヘルス、LGTB、ヘイトスピーチ、映画やライブのレビューなどについてのアメブロの記事から、厳選して共有していきたい記事だけ、アメブロと連携します。 クリエイターリンクは、こちら↓ https://lit.link/daiyuuki

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