スキャンダル #Me too運動に火をつけた全米ナンバーワン・ニュース局CEOセクハラ告発
アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局FOXニュースの元人気キャスター、グレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)は、テレビ界の帝王として君臨していたCEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)を提訴する。そのスキャンダラスなニュースによってメディア業界に激震が走り、FOXニュース社内は騒然とする。
看板番組を背負う売れっ子キャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、自身がその地位に上り詰めるまでの過程を振り返り、心中穏やかではなくなっていた。
一方、メインキャスターの座を虎視眈々と狙う若手のケイラ(マーゴット・ロビー)に、ロジャーと対面するチャンスが訪れるが、ロジャーと対面した時に思いもよらない体験をし、人知れず悩むことになる。
一方で、メーガンは、自分の経験からグレッチェンに味方するか?、自分の経験を無かったことにせず声を上げるべきか?、家族の安全やキャリアを台無しにしないか悩んだ末に、グレッチェンがロジャーの告発を担当した法律事務所に自分の経験を話し、FOXテレビを辞めたキャスターなどから声を募り、訴訟に協力することにする。
FOXテレビのCEOロジャー・エイルズをセクハラで告発した訴訟を元にした映画。
日本の民放局では、女性アナウンサーの地位は男性アナウンサーの助手として男性アナウンサーの言うことをニコニコしながら聞いているか、キャスターとして抜擢されても局の方針に従い男性に忖度した発言を求められる。バラエティ番組などでは、アイドル的なセクシーさを要求される。
アメリカのテレビ局では、FOXテレビのCEOロジャー・エイルズが告発されたことなど表に出てきているが、日本のテレビ局でも似たようなことがあるのかもしれない。
FOXテレビは、共和党支持派向けの番組作りをしていて、トランプ大統領のような男尊女卑的な価値観のロジャー・エイルズが、社員を徹底的に監視支配していて、女性アナウンサーやキャスターは脚を強調した衣装を着ることが暗黙の了解で、より良い地位や仕事を得たい時はロジャーたち男性役員の意向に従わなければならないルールが罷り通っていた。
FOXテレビの古き悪しきルールに従いながらトランプと渡り合う強い女性のイメージで人気を得るメーガン、FOXテレビの古き悪しきルールと戦って孤立しているグレッチェン、FOXテレビの古き悪しきルールに従いながら出世しようとするケイラ3人の視点が交錯しながらあぶり出すテレビ局の中にある隠された女性を支配して搾取する権力構造、会社内でセクハラにあった女性の戸惑いや自責の念や卑下する気持ちや孤立無援になる状態の心情がリアルに描かれている。
セクハラは、権力者が力を使い地位や仕事をエサに女性を支配する卑劣な犯罪であることが、セクハラにあったメーガンやケイラの葛藤や苦悩を通してリアルに描かれている。
この映画の元になった訴訟がきっかけで、ハーヴェイ・ワインシュタインのセクハラ告発など#Me Too運動に繋がったアメリカと未だにセクハラ告発者に対する誹謗中傷が酷い日本を比較すると暗澹とした気持ちになるが、シャーリーズ・セロンとニコール・キッドマンとマーゴット・ロビーの競演が見応えありな社会派ヒューマンサスペンス映画。
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