きみはいい子 抱きしめられたい 子供だって、大人だって
桜ヶ丘小学校4年2組を受け持つ新米教師・岡野匡(高良健吾)は、まじめだが優柔不断、問題に真っ正面から向き合えない性格だ。
そのためか、児童たちはなかなか彼の言うことをきいてくれず、恋人との仲もあいまいな状態が続いている。
一方、水木雅美(尾野真千子)は、夫が海外に単身赴任中のため3歳の娘・あやねとふたり暮らし。ママ友らに見せる笑顔の陰で、雅美は自宅でたびたびあやねに手をあげている。実は雅美自身も幼い頃、親に暴力を振るわれていた過去があった……。
小学校へと続く坂道の家にひとりで暮らす老人・佐々木あきこ(喜多道枝)が他人と会話をかわすのは、登下校の途中で挨拶をしてくれる名前も知らない小学生だけであった。
そんなある日、買い物に行ったスーパーでお金を払わずに店を出たことを店員の櫻井和美(富田靖子)に咎められ、あきこは認知症が始まったのかと不安を感じるようになる……。
ひとつの町でそれぞれに暮らす彼らは、様々な局面で交差しながら、やがて新たな一歩を踏み出していく……。
中脇初枝の同名小説を映画化。
落ちた桜の花をごみだとクレームつける人がいるように、児童の問題行動の奥にあるものを掘り下げない教師、体面を重んじるあまり子供のわがままを許せず虐待する母親、細かいクレームをつける親、学級崩壊や虐待やモンスターチルドレンやペアレントの実情を緻密な日常描写を積み重ねながら描き、老若男女問わず「きみはいい子」と言える世の中を願いたくなる傑作社会派映画です。
尾野真千子と池脇千鶴の正反対な母親の対比(正反対なように見えて意外な共通点そして虐待してしまう尾野真千子の苦悩と池脇千鶴が闇に墜ちなかった理由)、問題に向き合えないけどある虐待されてる子供との関わりの中で成長していく教師を演じる高良健吾、「どうしたら良い子になれる?」「子供を可愛がれば世界が平和になる」が印象的です。
すべてのキャラクターに桜が舞い落ちるラストは、ほのかな希望を感じさせるステキなラストでした。
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