ライチ☆光クラブ 王国を夢見た美少年の愛憎劇

工場が立ち並ぶ蛍光町。深夜、廃墟へ集まる9人の中学生がいた。
彼らは“光クラブ”と呼ばれ、強いカリスマ性と天才的頭脳を持つゼラ(古川雄輝)が、8人の少年たちを感化し従えている。
彼らは醜い大人を否定し、自分たちだけの世界をつくるため、巨大な鉄の塊で機械(ロボット)を開発していた。
ライチ(声:杉田智和)と名付けられたそのロボットに与えられた目的は、光クラブに美しい希望をもたらす少女の捕獲だったが、美の概念を知らないため、人間以外や美しくない大人を捕まえてきてしまう。
小学生の頃、ダフ(柾木玲弥)とカネダ(藤原季節)の3人で光クラブを作ったリーダーのタミヤ(野村周平)は、ゼラの思想に危険性を感じ始めていた。
一方、プログラミング担当のデンタク(戸塚純貴)は、ライチに「私は人間だ」という概念をインプットする。
ライチは遂に美少女(中条あやみ)を捕獲してくる。ゼラは眠る彼女を少女一号と名付け、性的対象として見ることを禁じる。
基地に誰もいなくなった夜、目覚めた少女はライチを恐れるが、彼が命令をインプットされただけの無垢な状態であることに気づくと、カノンと名乗る。
タミヤはダフ、カネダと、ゼラに対する違和感を確かめ合う。
ライチが間違えて捕獲した大人たちの身を案じたタミヤは、2人に協力を頼む。
その夜、ダフはこっそりと眠る少女の元へ赴き、自慰に耽るが、ライチの手で振り払われる。
翌日タミヤは、少女を性的対象とし、大人たちを逃した罪で捕らえられたダフの処刑を命じられる。
共犯の容疑で捕まったカネダが、タミヤの裏切りを告白したのだ。
カノンは眠ったふりをしながら、恐ろしい粛清を盗み見る。
その夜、彼女が歌うレクイエムで悲しみという感情を知るライチ。カノンから人は人を殺してはならないと諭されたライチのプログラムは、ゼラの命令とカノンに導かれた人間性によって混乱していく。
14歳の誕生日を控えたゼラは、大人になる前に目的を果たすことができるのか?
東京グランギニョールの舞台を古屋兎丸が漫画化したカルト的な人気を誇るロングセラーコミック「ライチ光クラブ」を、映画化。
最初はタミヤたち3人が秘密基地で遊ぶための集まりだった光クラブが、大人を否定して支配したい妄想に取り憑かれたゼラによって狂気のカルト的な集団になり、少年の夢に閉じ籠るのを止めようとするタミヤたちの造反や囚われの少女カノンにより人間性に目覚めたライチの暴走やゼラをめぐる光クラブのメンバー同士の愛憎によって破滅していく展開を通して、少年期特有な男同士の憧れやライバル意識そして少女に対する憧れと成熟に対する嫌悪、少年期の終わりと大人への通過儀礼を、グランギニョールそのものなどす黒い人体解体描写、少年同士の友情と愛憎劇を絡めて原作の世界観に忠実に描いた傑作青春映画です。
原作から抜け出したようなゼラの冷酷さや傲慢や狂気やカリスマ性まで演じた古川雄暉、友情に篤いタミヤを演じた野村周平、妖艶なジャイポを演じた間宮祥太郎の熱演が、印象的。

daiyuuki 全身当事者主義

全身当事者主義。ワーキングプアや毒親やブラック企業などのパワハラやモラハラに苦しみ戦い続けてきた立場から書いた、主にメンタルヘルス、LGTB、ヘイトスピーチ、映画やライブのレビューなどについてのアメブロの記事から、厳選して共有していきたい記事だけ、アメブロと連携します。 クリエイターリンクは、こちら↓ https://lit.link/daiyuuki

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