ジョン・F・ドノヴァンの生と死 グザヴィエ・ドラン、ハリウッド進出作
2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)が29歳の若さでこの世を去った。自殺か事故か、あるいは事件か。
謎に包まれた真相の鍵を握るのは、11歳の少年ルパート・ターナー(ジェイコブ・トレンブレイ)ただ一人。
それから10年の歳月が過ぎ、俳優となったルパート(ベン・シュネッツァー)がジョンと交わした100通以上の手紙を一冊の本として出版する。美しきスターの切なくも衝撃的な死の真相とは―。
若き天才監督グザヴィエ・ドランが、8歳の頃に「タイタニック」に主演したレオナルド・ディカプリオに夢中になってファンレターを送った思い出からヒントを得て制作した映画。
ストーリーは、俳優になったルパートがジャーナリストのオードリー(タンディ・ニュートン)に、ルパートとジョン・F・ドノヴァンが交わした手紙について語る中で、俳優の夢破れ父と離婚し息子が俳優を目指して子役で頑張っていることに反対している母親サム(ナタリー・ポートマン)とルパートの複雑な愛憎関係、表面上は一緒にハリウッドにやって来たエミリーとパートナー関係だが秘密の恋人を周りに隠しているジョンの秘密、ジョンとルパートの友情の顛末が語られる。
ハリウッドの同性愛に対する不寛容、イメージを壊さないために秘密が多くなって酒や安定剤や睡眠薬に依存していくスターの闇、子役が学校などで舐める辛酸など、子役の経験があるグザヴィエ・ドランの経験から取り入れているだけに痛切なリアル感がある。
「stand by me」などの名曲の使い方、カメラワークや映像美や編集のセンスが冴え渡っているし、様々な映画のオマージュにニヤリとさせられるグザヴィエ・ドランの集大成的映画。
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