魔界転生 柳生十兵衛vs最強剣豪衆
寛永十五年のキリシタン弾圧に端を発する島原の乱で、天草四郎(沢田研二)を始めとする2万人近い信者が惨殺された。
しかし魔界の力を得て蘇った四郎は、徳川幕府へ復讐を決意。蘇った四郎はグリモワールを身につけ、「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり (Eloim, Essaim, frugativi et appelavi)」と唱えながら、自らと同じように現世で無念の思いを抱き、死んでいった者たちを魔界衆に引き入れようとする。
細川忠興に見捨てられ、火の海に取り残された細川ガラシャ(佳那晃子)。
柳生宗矩(若山富三郎)・柳生十兵衛(千葉真一)親子と戦えなかった宮本武蔵(緒形拳)。
女性への煩悩を捨てられず、自殺した宝蔵院胤舜(室田日出男)。
甲賀組頭・玄十郎が率いる甲賀衆に伊賀の隠れ里を襲われ、殺された伊賀の霧丸(真田広之)。次々と四郎の手で蘇っていった。
伊賀衆が襲われた直後に十兵衛は隠れ里へ向かっていたが、破壊尽くされた里を目にし呆然とする。
それでも霧丸ら生存者がいないか探し続けている十兵衛と、馬に乗る5人の魔界衆と遭遇。胤舜が馬を走らせ十兵衛に襲いかかるが、木の上へ飛び魔界衆を躱す。
十兵衛は先年亡くなっていた武蔵や胤舜がいることに驚愕。四郎はそのまま江戸へ向かうことを十兵衛に宣言し、4人を先導して駆け去っていった。
この時の十兵衛は彼らが魔界衆だとわからなかったが、異様で不穏な雰囲気を持っていたため、宗矩に至急書状で伝える。
ガラシャは巫女のお玉の方に化け、日光東照宮に参詣した四代将軍徳川家綱に見初められ、側室となる。その美貌・肢体と妖しい色気を振りまくガラシャに籠絡された家綱は、政に無頓着となっていく。
家綱の溺れぶりに危機感を募らせた知恵伊豆こと松平伊豆守(成田三樹夫)は、玄十郎にお玉を暗殺するよう指示。
この密談の場に四郎と霧丸が突然出現。暗殺阻止のほか、四郎は島原の乱で幕府軍司令官だった伊豆守に、霧丸は玄十郎に、復讐を果たそうと目論んでいた。四郎は乱で亡くなった仲間たちの髪で編んだ髪切丸で伊豆守を、霧丸は玄十郎を惨殺した。
お玉が魔界衆と睨んだ宗矩は、村正(丹波哲郎)にお玉を斬るための妖刀を依頼。不治の病に冒されていた宗矩は妖刀を携え、乱心を装いお玉の方を斬ろうと江戸城へ向かう。
入れ代わりに武蔵が柳生家へ現れ、木刀を手にし、宗矩か十兵衛との決闘を望む。十兵衛の弟・柳生左門が対したものの、一撃で頭を叩き割られ撲殺された。
一方登城の宗矩には、胤瞬が立ちはだかる。戦いの末、宗矩は一刀両断で胤瞬を切り捨てるが、死地を彷徨う。
四郎は宗矩を魔界へ誘うが、「生涯に悔いなし」と拒む。
しかし十兵衛を息子というよりも天才的な剣豪として愛していた宗矩は、一介の剣士として十兵衛と戦いたいという望みを四郎に見透かされ、魔界衆への転生を受け入れた。
宗矩が魔界衆に加わったことにショックを受けた十兵衛だが、宗矩と武蔵を倒すため、かつての武蔵の恋人・お通の姪である二代目・おつうを養女にしていた村正に、魔界衆を斬れる妖刀を打ってもらうよう、宗矩同様に依頼した。
だが村正は、宗矩に渡した妖刀で精魂を使い果たしてしまい、一旦断る。その時、武蔵が十兵衛と決闘しようと、不意に村正の家へ乗り込もうとする。妖刀もなく十兵衛危うしだったが、村正がおつうに笛を奏でさせたため、かつてお通との思い出が蘇った武蔵は、戦う気が無くなり引き上げていく。
村正はあのような化物を斬るには自分の刀しかないと再考し、刀を打つことを決意する。
四郎は霧丸を連れ、天領の農村で呪いをはじめ、社会を不穏にしていこうと画策。やがて作物が実らず、不作になったが、幕府は年貢を下げなかったため、農民と対立。農民は磔にされ、弾圧を受け始めた。四郎は彼らに一揆を促し、扇動。農民を率いて、江戸城へ向かう。
この間、霧丸は農民の少女・お光と心を通わせ、魔界衆であることに疑問を持ち始めていた。
十兵衛とも再会し、かつての交流を取り戻し、四郎が首領であることを十兵衛に伝える。
しかし霧丸の裏切りを知った四郎は、逃亡しようとする霧丸を情け容赦なしに髪切丸で絞殺してしまう。
十兵衛はおつうやお光と共に、一揆で亡くなった多くの農民や霧丸を葬っていた。四郎たちを倒すことを改めて誓っていた十兵衛は武蔵から決闘を申し込まれ、村正最後の妖刀を身に帯び、舟島へ向かう。
おつうの笛は武蔵に優しさを思い出せようと奏でられるが、武蔵は動揺せず戦い続ける。幾度も剣を交えた末、十兵衛は高く飛び、空中から脳天割りで武蔵を倒した。
急ぎ江戸城へ向かう十兵衛だが、城では相変わらず家綱がガラシャに溺れていた。ところがガラシャは忠興の名を口にしたため家綱から追及され、もみ合っているうちに灯を倒したことで出火し、大火へなっていく。
紅蓮の炎で破壊されていく喜びに四郎はうち震え、宗矩は十兵衛を待ち焦がれていた。
やがて火の海に包まれていた江戸城に、身体中を魔除けの梵字で埋め尽くした十兵衛が登場。今まさに十兵衛vs宗矩・四郎との最終決戦が始まろうとしていた。
山田風太郎の忍法帖シリーズの一作を、深作欣二が映画化。
緒形拳演じる宮本武蔵と千葉真一演じる柳生十兵衛の巌流島対決、紅蓮の炎に包まれる江戸城での若山冨三郎演じる柳生宗矩と柳生十兵衛の骨肉合いはむ親子対決などの本物志向のバトルの連続で、宮本武蔵などの剣豪がこの世に対してのそれぞれの理由から魔界に堕ちる心情や人間と魔界衆の間で葛藤する伊賀の霧丸の葛藤を丁寧に描きつつ、天草四郎の魔術によって飢饉に陥った民衆を煽って幕府を打倒しようとする策略も原作より丁寧に描かれ、理屈抜きに楽しめる痛快時代劇アクションです。
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