飢えたライオン 

ある朝。高校のホームルーム中に、瞳(松林うらら)のクラス担任が未成年への淫行容疑で警察に連行される。
これをきっかけに担任の性的な動画が流出。学内では、その相手が瞳だという噂が流れ始める。
そんなデマはすぐに忘れられるだろうと軽く考えていた瞳だったが、中学生の妹やフリーターの彼氏、ヒロキ(水石亜飛夢)からも事の真相を尋ねられ、不安が芽生えていく。
その影響で、次第に瞳を性の対象として見るようになる周囲の男たち。友人、先生、家族…。
誰からも信じてもらえずに追い詰められた瞳は、自ら死を選ぶ……。
担任教諭の逮捕と生徒の自殺は、世間の注目を集め、マスコミの報道はますます過熱。
そしてその情報はネットや人伝で拡散し、社会によって瞳の虚像が作られていくが……。
「子宮に沈む」の緒方貴臣が、SNSの誹謗中傷をテーマにしたサスペンス映画。
前半は、SNSとリアルで「映え」を見せつけ合う女子高生同士や高校生カップルの薄っぺらい内面を描写する会話や生態をスマホなどのカメラで撮影するパート、元バスケ部の瞳が担任教師と関係していると担任教師の性的な動画の流出で疑われ彼氏や妹や友人から疑われ一方的に「性的な存在」のように誹謗中傷され揶揄われ弄ばれ追い詰められるパートは、緒方貴臣監督お得意のホームビデオやスマホのカメラで当事者目線で撮影する映像で描く生々しさが、高校生同士の希薄な人間関係や安易にプライベートを撮影してSNSに上げる危うさやデマがリアルを侵食し相手を食い殺してもやめないおぞましさがリアルで胸糞。
瞳が自死して、瞳を「悲劇のヒロイン」として祭り上げて瞳の母親や友人を追いかけ回すワイドショーの取材の狂奔ぶり、瞳をハブったり中傷したクセにマスコミには「ステキな人間でした」と良い人ぶる瞳の同級生の虚栄心、「SNSを規制すべき」と分かったふりのコメンテーターの薄っぺらさ、動画流出の犯人が分かってもデマや自死した瞳をネタとして消費する高校生たちの薄っぺらい自意識、そして最終的に映画を消費する観客を斬り込む後半パートは、リアリティショー番組「テラスハウス」のヤラセ疑惑やワイドショーの加熱報道やドキュメンタリーやフェイクニュースなど「真実とフェイクそして加害者と被害者のグレーゾーンの曖昧さ」「マスコミの報道やSNSの情報をネタとして消費する匿名の暴力性」を問うたサスペンス映画。

daiyuuki 全身当事者主義

全身当事者主義。ワーキングプアや毒親やブラック企業などのパワハラやモラハラに苦しみ戦い続けてきた立場から書いた、主にメンタルヘルス、LGTB、ヘイトスピーチ、映画やライブのレビューなどについてのアメブロの記事から、厳選して共有していきたい記事だけ、アメブロと連携します。 クリエイターリンクは、こちら↓ https://lit.link/daiyuuki

0コメント

  • 1000 / 1000