チムグリサ 灰谷健次郎の「太陽の子」を読んで
灰谷健次郎さんの「太陽の子」を紹介します。
作者の兄が自殺し、成績重視の教育界に疲れはて、流れついた沖縄で、彼は命は生きているものだけのものだけではなく死んだ命と繋がり生き生かされていること、痛みを分かち合うことを学びました。そのことがこの小説に込められています。
時は1975年。神戸市に住む大嶺芙由子は小学6年生の少女で、周囲からは「ふうちゃん」と呼ばれている。
父は半年前から突然精神状態が不安定になり、心身症と診断されていた。
芙由子の母は、「てだのふぁ・おきなわ亭」という大衆料理店を営み、店には沖縄出身の人々が常連として集う。
その一人が、やはり沖縄出身で母に捨てられたキヨシ少年を店に連れてくる。だが、キヨシはそんな善意を無にするように、相手の金を盗んで姿を消してしまう。
芙由子が沖縄の風習にある風車を常連たちに配ったとき、沖縄戦の集団自決で片手を失ったロクさんは外で風車を握ってすすり泣いた。
芙由子は父が「ふうちゃんが殺されるやろが」と発作の時につぶやいたことを思い出す。父の主治医から「沖縄ではいろいろなことがあったらしいから、それが原因ではないか」と聞いた芙由子は、沖縄について調べ始める。
沖縄料理店が舞台だけに、ラフテーなど美味しそうな沖縄料理が食欲をそそりますけど、メインはふうちゃんが「てだのふぁ」の常連ギッチョンチョンから沖縄戦のことなどを教わるパートやキヨシ少年との交流で、沖縄戦で日本軍は沖縄決戦を前に日本軍は3分の1の兵力を他の地域に移したそのために女性や子供を含めた多数が死んだことなどを知り理解していく中で、本当の優しさは相手の苦しい歴史を知ることそして生きている人の中で死んだ命が生きていることを理解すること、本当の歴史の勉強とは身近な人の歴史を知り勉強することであることを知る展開で、今の日本に欠けているものの正体を考えさせる内容になっています。
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