プラトーン 鬼才オリバー・ストーンが描くベトナム戦争 その1
クリス(チャーリー・シーン)が、ベトナムへやって来たのは1967年。
大学を中退してまでベトナムを志願したのは、次々と徴兵されていく同年代の若者たちのほとんどが、少数民族や貧しい者たちだった事に対する義憤からだった。
だが、いきなり最前線の戦闘小隊(プラトーン)に配属されたクリスにとって、戦争の現実は彼の想像をはるかに超えた苛酷なものだった。
その小隊の隊長バーンズ(トム・ベレンジャー)は冷酷非情、顔の深い傷痕が証明するように過去何度も死線をくぐりぬけてきた強者だ。
班長のエリアス(ウィレム・デフォー)は、戦場にありながらも無益な殺人を犯してはならないという信念の持ち主。
その他、様々な個性を持つ兵士たち13人の小隊は、人間の最大の罪悪といえる戦争の真っ只中に放り込まれ、 想像を遥かに超えた過酷な戦争の現実を、目の当たりにする。
戦争の名のもとでの殺人、疑惑と憎悪、そして人間性の喪失との戦い……。
死の恐怖が渦巻く最前線の中、彼はやがてベトナム人への虐殺・略奪・強姦など、戦争の狂気とその現実を体験していく。
オリバー・ストーン監督が自身のベトナム戦争従軍時の経験を元にした傑作戦争映画。
新兵を近くに置くと巻き添えを食うので古参兵は新兵を教えたがらない(エリアス軍曹のような親切な古参兵は別)、新兵の死亡原因が事故が大半(安全装置を掛けたまま地雷のスイッチを押したり、手柳彈が近くで爆発するなど)などドキュメンタリータッチで泥まみれな戦場を駆け巡る中で殺人や残酷行為に慣れてしまう兵士の心境を含めた生々しい戦場を描いた生々しい戦場描写、ベトナムの人民を救うという大義を信じているエリアスと戦争そのもののバーンズ軍曹の対立、ベトコンが潜んでいるという疑いのある村を焼くなどの残虐行為を敵に対する憎しみから平気でしてしまう戦争の狂気、バーンズを告発しようとしたエリアスをバーンズが戦闘中に殺害する兵士同士の殺人、ヒロイズムとは無縁な戦場を描いた傑作戦争映画です。
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