瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと
瀬戸内寂聴は、死の直前まで月刊誌、新聞の連載をこなす“現役”作家であり、2020年1月まで行っていた、月一回の法話に全国から人が押し寄せる“最長寿の国民的アイドル”でもあった。
駆け落ち、不倫、三角関係など、自らの体験を私小説の形で次々と発表し、世間のバッシングに晒されながらも、女流作家として不動の地位を確立。
51歳のときに出家して以来、僧侶、作家の2つの顔を持つ大正・昭和・平成・令和と4つの時代を生きた瀬戸内寂聴が語る“恋愛”、“創作”、“家族”、そして“波乱万丈の人生”とは……。
いつまでも恋心を持って生きる。女性であることを忘れず、人生を楽しむ。彼女の“生き様”は、不寛容な空気が充満しつつある現代社会で、人間の生命力とは何かを強く感じさせてくれるものであり、“いかに生き、老いていけばいいのか”というヒントにもなるはずだ。高齢化社会を生きる現代人に向けて、大きなメッセージともなるに違いない。
大正・昭和・平成・令和と4つの時代を生き、自らの体験を私小説の形で次々と発表。51歳のときに出家して以来、僧侶、作家の2つの顔を持つ寂聴が、その生き様を語るヒューマンドキュメンタリー映画。
長年、瀬戸内寂聴を密着取材してきたテレビ・ディレクターの中村裕と瀬戸内寂聴は、単なる取材対象を超えた肉親のような信頼関係がある。
その中村裕の目を通した瀬戸内寂聴は、肉や揚げ物やお寿司など好きな食べ物や酒を我慢せずに楽しみ、よく笑いよく泣き本音で周りに向き合い、体が衰えても書くことと迷える人を導くことをやめない煩悩即菩提そのものの人間臭い女性だった。
性愛の泥沼を断ち切るために出家したが、人を好きになることは止められない。だけど仏のご加護で、深い仲にはならなかったと語る寂聴。
不倫や三角関係のことは、懺悔の為に私小説にしたけど、夫たちには今でも申し訳ない気持ちを抱えている寂聴。
2019年頃から体が衰えしんどくなって、好きなすっぽんを京都に食べに行ったり歌舞伎を観に行くこともあまり出来なくなり、前は出来たことが次第に難しくなっても理学療法士のリハビリを受けながら仕事量を減らしつつ執筆活動を続け、夢の中でも作品の構想を練り、「書きたいことがたくさんあって、命と時間が足りない」とこぼしていた寂聴。
体の衰えに気弱になっても、最後までやりたいことをやり通した瀬戸内寂聴のエネルギッシュな姿が、中村裕ディレクターの密着取材から炙り出された。
嫁姑関係や災害などで苦しみ迷う人々に、瀬戸内寂聴が送った様々な言葉、「生きることは、愛すること」「人を愛することで、人はたくさんのことを学んで成長出来る」「死は避けられないからこそ、情熱を持ってやりたいことをやって生き通すことが大事」「人は死んでも、魂は愛する人を見守っている」「人は、独りで生まれ生きて死ぬ。だからこそ孤独を生きることを覚悟するのが大事」などは、多くの人々を励まし救う名言が満載なヒューマンドキュメンタリー映画。
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