性的同意を紅茶に例えて考えてみた
伊藤詩織さんの民事裁判など、性犯罪をめぐる裁判で争点になることが多い「性的同意」。相手が、性行為に同意しているか、していないのか。どう判断すればいいのでしょうか?
ここに、「紅茶」にたとえて性的同意をわかりやすく伝える動画があります。
「相手が要らないと答えたなら、紅茶をいれるのをやめてください」。イギリスの警察が公開した動画に、デザイナーのMina(@mlookslike_)さんが字幕をつけ、2017年にTwitterで紹介しました。
「同意」という概念が難しいようでしたら、セックスを紅茶に置き換えて考えてみましょう。
あなたは誰かに紅茶をいれることにしました。
「紅茶はいかが?」とあなたが尋ねたとき、「飲みたかったんだ!ありがとう、ぜひ!」と答えたら、相手も紅茶が飲みたいことがわかりますね。
もしも「紅茶はいかが?」とあなたが尋ねたとき、「う〜ん...どうしようかな...」と答えた場合、あなたは紅茶をいれてもいれなくても構いません。
しかし、仮にいれたとしても相手が飲むとは限りませんよね。
もし相手がそれを飲もうとしなかったら、ここが重要です。
相手に無理やり飲ませない。
あなたがわざわざ紅茶をいれてあげたとしても、相手がそれを飲まなければならない義務はないのです。
相手が「要りません」と答えたなら、紅茶をいれるのをやめてください。
少しも要りません。ただ、やめてください。
このように、わかりやすく、セックスにおける「同意」の話が伝えられています。
動画では、「意識を失っている人に対して無理やり紅茶を飲ませてはいけない」ことにも言及しています。
そして、「ほしくない人に紅茶を飲ませることがどれほど完全に馬鹿げたことか理解できて、相手が紅茶を飲みたくないことも理解できるのならば、セックスも同じです。紅茶もセックスも、Consent(同意・承諾・納得)が全てなのです」と締めくくられます。イギリスでは、同意のない「不同意性交」をレイプと定義しており、刑事罰の対象としています。性犯罪に詳しい村田智子弁護士は、早稲田ウィークリーのインタビューに対し、「(イギリスでは)加害者が『被害者に合意があったと信じていた』と主張した場合でも、信じていたことに合理的な理由があることが必要とされています」と答えています。日本の現行法では、同意のない性交だったとしても、それだけでは処罰の対象とされません。強制性交罪(旧強姦罪)が成立するには、「被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行や脅迫」が加えられることが条件となっています。性犯罪の支援者団体などは、その暴行・脅迫要件が被害者にとって高いハードルになっているとして、刑法改正を求める声を高めています。 働くアラサー女性のための情報サイト『ウートピ』編集長の鈴木円香さんは「日本では性的同意となると、男性が女性にとるものというイメージが強い」と話す。鈴木さんは「本当は男性が女性に、女性が男性に、性別関係なく同意を取るべき。でも、その教育が全然ない」と、日本の性教育の遅れに言及。 続けて、日本人の性的同意が分かりにくいことについて、鈴木さんは「『男性からきてほしい』とか『サインは出すけど最後は読んで』って思っている女性もいる。それを読めない男性が多いとイライラしてしまう。性的同意について『NO』と言うよりも『読み取って』という駆け引きがあることも問題なのでは」と分析した。 福田さんによると、スウェーデンには「性的同意」の認識を広げるために「FATTA!」という活動団体があり、そこでは性的同意まで、次の6つのステップが紹介されているという。
1:私は自由な意志で性的行為がしたいのか
2:相手は性的行為を望んでいるのか
3:相手がもし断ったとして窮地に陥らないか(相手が弱い立場の場合は特に気をつける必要がある)
4:お互いが望んでいることを我慢せずに言える関係か
5:お互いがその性的行為を望んでいるか
6:性行為のときに上の5つを確認し明確にする
(FATTA!による6つのステップ 監修:「#なんでないの」プロジェクト発起人・福田和子さん) 特に福田さんが重要視しているのは3番目の「相手がもし断ったとして窮地に陥らないか」だ。自分より相手が弱い立場である場合は、特に気をつける必要がある。「相手は『彼女だから全部受け入れなきゃ』って思っているかもしれない。特に、相手より立場が上の人は『性的同意をしなくても、あなたの地位が奪われるわけではない』って『NO』と言えるスペースをつくってあげることが大切です。それがないと性的同意ではないです。仕事の中で、立場が自分よりも上の人に誘われた場合『断ったら自分の仕事が奪われるかもしれない』『この業界にいられなくなるかもしれない』という考えをなくして、言いやすい環境や土台を作る必要がある」(「#なんでないの」プロジェクト発起人・福田和子さん) また、スウェーデンでは2018年7月に「明確な同意のない性行為はレイプとみなす」という新法が成立している。性的同意について、日本でもこのような明確なガイドラインは必要なのだろうか。タレントのSHELLYは「(言葉だけで性的同意を取れるように)日本人のコミュニケーション能力や常識、文化を持っていくのは遠い。今は性犯罪を減らすために、もう少し明確なガイドラインがあってもいいのでは」と指摘。具体的な例として「性被害に遭って傷ついても『私もいっぱい(お酒を)飲んだから……』で片付けている女の子もいると思う。相手がべろべろに酔っ払っていたら(性行為を)しない。女性を介抱した先に性行為はないという最低限のラインは、メディアで言っていかないといけない」と警鐘を鳴らした。
日本では「イヤもイヤも好きの内」とか「2人で食事をしたり酒飲んだら今夜はオッケー」とか男尊女卑的な女性の意思表示を男の都合良く解釈するコミニケーションが幅を利かせていたり、女性の方もはっきり意思表示するのが苦手で男性に察して欲しいところがあるので、欧米の高校や大学での性教育での性的同意についての学習のように様々なシチュエーションでお互いの同意を確認し合うコミニケーション法を学ぶことが必要である。
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