パレードへようこそ 分断より団結を

1984年、サッチャー政権下のイギリスは不況に苛まれていた。サッチャー首相は20ヶ所の炭坑の閉鎖案を発表するが、炭坑労働者たちはこれに反発。抗議のストライキは4ヶ月目に入ろうとし、炭鉱労働者とその家族たちは生活が困窮していた。ロンドンに住むマーク(ベン・シュネッツァー)はそのニュースを見て、ゲイの権利を訴える大々的なパレードの中で仲間たちと募金活動を開始。そして炭坑労働者支援のためのレズビアン&ゲイ会LGSMを立ち上げる。
しかし集まった寄付金を送ろうと全国炭坑労働組合に連絡しても、レズビアン&ゲイ会と名乗ると偏見から冷たくあしらわれてしまう。それならばとウェールズ奥地にある炭坑町ディライスの役場に直接電話したところ、今度はすんなり受け入れられる。ディライス炭坑を代表して彼らのもとにやってきたダイ(パディ・コンシダイン)は、LGSMがどういうグループか全くわかっていなかった。ダイは偏見を持たずにゲイ・バーを訪れ、お金ではなく友情をもらったと大勢の前で熱く語る。
このおかげで賛同者は増え、ディライス炭坑への多額の寄付金が集まった。ディライスの委員長ヘフィーナ(イメルダ・スタウントン)は感謝の意を込めたパーティを企画し、反対を押し切りLGSMを招待。ヘフィーナや書記のクリフ(ビル・ナイ)はミニバスに乗りやってきたLGSMのメンバーを歓迎する。困惑する者もいたものの、次第にメンバーも町人たちも心を開き始め、歓迎会は大いに盛り上がった。ストは42週目に突入し、組合員の家族手当が停止。LGSMがさらなる支援を決める中、ある不測の事態が起こる……。
家族に内緒でゲイの支援活動に参加するジョーと炭鉱労働者と連帯しようとするマークを対比させながら、仲間内でも考え方や立場は違っても、同じ目的や共通点を見つけて連帯することの難しさや葛藤を含めてユーモラスに描かれていて(ジョーが家族に同性愛者であることを絶縁覚悟でカミングアウトして同性愛者の仲間に戻るシーン、ビルナイが幼友達に同性愛者であることをカミングアウトするシーンが感動的)、一緒に飲み食いして話し合い遊び苦楽を共にしながら少しずつ偏見や誤解を解いていく過程も丁寧に描かれ(同性愛者と話していると誤解されると尻込みする炭鉱夫と同性愛者と一緒に同性愛者のたまり場のクラブに繰り出しガールズトークに花を咲かせ打ち解けていく炭鉱夫の奥さん方の対比が見事。
だからこそラストのデモで炭鉱夫の労組と同性愛者の権利を訴える団体が連帯して参加するシーンが感動的)、属性や信念が違っても共通性を見つけて連帯することの難しさと素晴らしさをメッセージする爽やかな後味の傑作映画でした。

daiyuuki 全身当事者主義

全身当事者主義。ワーキングプアや毒親やブラック企業などのパワハラやモラハラに苦しみ戦い続けてきた立場から書いた、主にメンタルヘルス、LGTB、ヘイトスピーチ、映画やライブのレビューなどについてのアメブロの記事から、厳選して共有していきたい記事だけ、アメブロと連携します。 クリエイターリンクは、こちら↓ https://lit.link/daiyuuki

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