伊藤詩織さんに誹謗中傷ツイートした大澤昇平・元東大特任准教授に賠償命令
ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元東京大学大学院特任准教授の大澤昇平さんに対し、虚偽の内容のツイートで名誉を毀損されたとして慰謝料など110万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が7月5日、東京地裁であった。
藤澤裕介裁判長は大澤さんに対し、慰謝料など33万円の支払いと投稿の削除を命じた。
伊藤さんは自身に対する誹謗中傷ツイートをめぐり複数の投稿者を提訴しており、判決が出るのは初めてとなる。
東京地裁はツイートについて、伊藤詩織さんに対する「違法な名誉毀損行為に当たる」と指摘。伊藤さんに与えた精神的苦痛は「軽視できない」として、慰謝料などの支払いを命じた。
訴状によると、大澤さんは2020年6月、「伊藤詩織って偽名じゃねーか!」とTwitterに投稿。
ツイートには、「伊藤詩織」を通名とする外国人とみられる人物が破産に至ったことを示す官報公告の画像を添付し、「#性行為強要」などのハッシュタグが添えられていた。
伊藤さん側は訴状で、自らの名前は本名で、「別の名前はありません」と否定。
伊藤さんは破産開始決定を受けたことはなく、ツイートの内容は「真実ではありません」と指摘した。
その上で、ツイートが伊藤さんの社会的評価を著しく低下させ、名誉を毀損しているとして、慰謝料など110万円の損害賠償と投稿の削除を求めていた。
伊藤さんはTwitter上の投稿をめぐり、漫画家のはすみとしこさんら複数の投稿者に損害賠償を求める訴訟を起こしている。
大澤さんのツイートは、はすみさんらへの訴訟提起後に投稿されたもので、伊藤さん側は、「(性被害の)『三次被害』ともいうべきものです」と主張していた。
一方、大澤さんは請求棄却を求めていた。反論について、大澤さん側の代理人はハフポスト日本版の取材に対し、「守秘義務のため個別案件の取材には答えられない」としていた。
判決文によると、大澤さんは、同姓同名の名前はTwitter上に多数存在するため、投稿は伊藤詩織さんに言及したものと認識されないなどと主張していた。
東京地裁は、伊藤詩織さんが実名を明らかにして性被害を訴え、社会に発信していることなどから、「ツイートが『伊藤詩織』という人物の中でも原告を名指しするものであることは明らかである」と指摘。
投稿によって、「原告が多額の負債を抱え、経済的に破綻して破産手続開始決定を受けるに至ったかのような印象を与える」として、「原告の社会的評価を低下させると認められる」と判断。伊藤さん側の主張を支持した。
その上で、「本件ツイートは、原告に対する違法な名誉毀損行為に当たる」として、「原告に与えた精神的苦痛は軽視できないもので、原告に対する慰謝料の額は30万円が相当である」とした。
さらに、弁護士費用を3万円と算定し、大澤さんに対し計33万円の支払いを命じた。また、「原告の名誉権を侵害し続けている」として、ツイートの削除を命じた。
伊藤さんは判決を受け、「暴力的、否定的な言葉は私個人だけではなく、同じような経験をした人も同様に傷つけ、声を奪う。この判決がネットの誹謗(ひぼう)中傷をなくす一助になることを心から願う」というコメントを出した。
だが、判決前から信者や支持者向けにアピールするために、「賠償金が55万以下ならオレの勝ち」などとネトウヨ得意のイキリツイートして、判決後には「大勝利です。」などと現実逃避ツイートして、「裁判の勝ち負けは賠償金の大小による」などという妄言を吐く自称法学部大学生のツイートまで飛び出し、大澤センセイ(笑い)は「自分を中傷したマスコミを訴える」などと吹いている。暴走発狂気味の大澤センセイ(笑い)の暴走ぶりに、フォロワーでさえ「めっちゃ負けてるやん」など失笑のコメントが多数出ている。
この主張に対し、伊藤さんの代理人を務める山口元一弁護士は、「損害賠償と投稿の削除を請求して、(判決で)損害賠償と削除が認められているので、こちらが勝訴したという風に考えるのが普通の考え方だと思います」と指摘した。
その上で、賠償額が33万円になったことについて山口さんは、「伊藤さんが受けたのは精神的な苦痛で、お金をもらったからどうこうという話ではない」とコメント。
個人の見解として「金額は増額の方向に向かってほしい」と述べた一方で、「損害額の高額化によってこの問題が解決できるということではない」との見方を示した。
訴状によると、問題となった大澤さんのツイートは2020年7月時点で600回以上リツイートされ、1100回以上の「いいね」を集めている。
山口さんは、一つのツイートが多数の人にリツイートされることで拡散し、個人が大量の攻撃に晒されてしまうことがネット上の誹謗中傷の特性だと話す。
判決を受けたのはツイートを投稿した大澤さん個人だったが、「この判決が大澤さん以外の人にも届いてほしい」と受け止めを語った。
伊藤さんも会見で、大澤さんのツイートに同調し、同じようなツイートをした人が何千、何万人もいることが問題だと指摘する。
「今回の裁判は同じような発言を繰り返している人、行動に至っている人に向けたものでもある。(裁判は)今の日本の司法でどういった判決が示されるのか、リトマス紙のようなケースになればいいと思っていた」と話し、「そのプロセスを元に評価したいので、大澤氏個人に対してはあまり意見はありません」と述べた。
伊藤さんは2017年、名前と顔を出して元TBS記者から性暴力を受けたと公表。その後、ネット上で伊藤さんに対する誹謗中傷や非難が相次いだ。
性被害を告白した人がバッシングや中傷を受けることは一般的に「セカンドレイプ」と呼ばれ、被害者は更なる傷を負う。
伊藤さんは、「声を上げることに対して誹謗中傷がきてしまい、結果声を上げられなくなってしまうという現状は本当に残念なことだと思います」と語る。
この判決が一つのマイルストーンになり、法改正やプラットフォームの責任などについての議論が深まってほしい、と展望を語った。
そして、もし誹謗中傷やセカンドレイプととれるような発言をSNS上で見かけたときは、「傍観者として通り過ぎないでほしい」とも呼びかけた。
「ネット上に蓄積されてしまうという問題があるので、次の世代のためにも明るい言葉、ポジティブな言葉で埋めていってほしい」
「ツイートを通報したり、ポジティブな言葉で埋めていくことだったり、周りができることがある。その人を一人にしないでほしいという思いです」
伊藤詩織さんと名誉毀損の裁判中なのは、杉田水脈とはすみとしこだけになったし、未だにデマを撒き散らしている支持者に対して言えるのは、一言だけ。
「震えて眠れ、首を洗って待っていろ。誹謗中傷する者に、明るい未来はない」
この裁判が、ネットでの誹謗中傷の厳罰化を後押ししてくれることに、我々も力を注ごう。
そして、ツイートする前に一呼吸置いて、デマか誹謗中傷ではないか確認する発信者の責任を自覚し、学校などで発信者の責任やリテラシーについて教育するなど、誹謗中傷に社会で取り組む必要がある。
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