マグダラのマリア 従来のマリア像を覆すキリスト教映画
新約聖書に登場する聖女マグダラのマリアを主人公に描いた伝記ドラマ。「キャロル」のルーニー・マーラがマグダラのマリア、「ザ・マスター」のホアキン・フェニックスがイエス・キリストを演じた。
イスラエル北部の町マグダラで暮らすマリア(ルーニー・マーラ)は、父から望まぬ縁談を強いられるなど男性原理に支配された社会で苦しい思いをしながら生きていた。
そんなある日、イエス・キリスト(ホアキン・フェニックス)に出会い、彼の起こす奇跡を目の当たりにしたマリアは、神に仕えることを決意。
家族のもとを離れ、イエスやペドロ(キウェテル・イジョフォー)やユダ(タハール・ラヒム)などの使徒たちとともに神の教えを伝えながら旅を続ける。やがて死者をよみがえらせたイエスは、救世主として民衆から崇められるようになるが……。
従来のキリスト教では、マグダラのマリアは娼婦でイエス・キリストに出会い自らの行いを懺悔しキリストに帰依した信者の一人とされた。
だが、近年マリアの福音書などの研究により、従来のマグダラのマリアとは異なる実像が分かってきた。
この映画は、近年のマグダラのマリアの研究を元に、マグダラのマリアの実像に迫ったキリスト教映画。
父が勧める縁談を強いられるなど、結婚して夫に従う女性の役割に馴染めず、ヘロデ王に虐げられたユダヤ人を率いてローマ帝国を倒してイスラエルに導く救世主を期待するペドロたち使徒に「イエスを弱くしてる」と疎まれながらも、イエスの教えの根本にある「自らの魂は宝であり、自らの自由も自らのもの」「憎しみを持ち続けるよりも、寛容な心で相手を赦しなさい」「まず傷ついた人を救え、苦しむ人を救え」「神の国は、愛と赦しの中で心の中に生まれるもの」ということをペドロたち使徒より理解し、ペドロと教えを広めるだけでなく死にゆく人に安らぎを与え病む人を癒すことで人々を救い信者を増やす重要な役割を使徒と同じくしていたこと、イエスの最後を見届けて復活したイエスを最初に目撃した証人であり、救世主という重責に慄きながら背負うイエスの苦悩を理解していたこと、使徒と同じくらい重要な地位を占めていたマグダラのマリアの新たな実像を描いていて、キリスト教教徒だけでなくルーニー・マーラのファンにも必見のキリスト教映画。
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