ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト
米ピッツバーグの名門カーネギーメロン大で美術史の博士課程に学ぶアビー(クリステン・スチュワート)と駆け出し新聞記者のハーパー(マッケンジー・デイヴィス)のカップルは、順調な付き合い。
両親のいないアビーは、恋人のハーパーに誘われてクリスマスを恋人の故郷で過ごすことにしてプロポーズまで計画していたが、当日になってハーパーが家族に2人の関係を隠している上に、まだ同性愛者であることをカミングアウトさえしていないことを知る。
保守的なハーパーの父親テッド(ヴィクター・ガーバー)が、今市長の座を狙って選挙戦中なので、クリスマス休暇中はルームメイトであることにして欲しいと、アビーはハーパーに頼まれた。
最初のうちは、「自分のことを隠すのも楽しいかも」と強がっていたアビーだが、ハーパーの元カレのコナーがハーパーの家に来てクリスマス・パーティーに参加していたり、ハーパーの元カノで親友のライリー(オーブリー・プラザ)はアビーの話を怪しんでいるし、部屋も別々の部屋にされてなかなかふたり切りになれないし、ハーパーは自分の友人と話してばかりでアビーは知らない人だらけなパーティーに独りぼっちにされたり、だんだん不安が募っていく。
ハーパーの元カノのライリーから、自分とハーパーが別れた時の話を聞かされ、元カレのコナーとふたりでハーパーが呑んでいたのを知ったアビーは、ハーパーに対する不信感が限界まで来てしまう。
クリスマス・パーティーで、ハーパーやハーパーの姉スローン(アリソン・ブリー)が抱えてる秘密が火種になり、大事件になる。
アビーは、無事にハーパーにプロポーズ出来るのか?
両親がいないこともあり、異性愛者のように愛する人にプロポーズして、相手の両親に祝福される結婚に憧れるアビー。
両親の期待に応えるために、自分を偽ってきたハーパー。
アメリカの伝統的な家父長制の価値観の両親に、レズビアンの恋人を紹介するため、ハーパーはアビーに友人と偽るように頼む。
知らない人の中で自分を偽って過ごし、恋人との絆を確かめることもままならない中で、恋人の知らない面を見て、心細くなってしまったり、恋人の愛を信じられなくなってしまうアビーの心情が、バイセクシュアルであることをカミングアウトしてるクリステン・スチュワートが演じただけに、見ていて胃が締め付けられるような辛さがリアルに見る者に伝わる。
クリスマス映画のクライマックスで起きるお約束の大乱闘で、アメリカ伝統的な価値観の「完璧な家族」を装うためにハーパーや姉のスローンが抱えてる秘密が火種になり大騒動になり、他のクリスマス映画とは違う形で「雨降って地固まる」ハッピーエンドになる展開は、レズビアンで監督脚本のクレア・デュヴァルの「懐深いアメリカであって欲しい」という願いが込められていて、ホッコリするクリスマス映画だった。
プライムビデオなどで、レンタル配信中。
「みんなストーリーはバージョンがそれぞれ違う。新しい章を始めるには覚悟がいる」
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