愚行録
閑静な住宅街で起こった一家惨殺事件。被害者の田向浩樹(小出恵介)は、大手デベロッパーに勤めるエリートサラリーマン。
一方、妻の友季恵(松本若菜)は、物腰が柔らかい上品な美人として近所から慕われていた。娘とよく買い物に出かけるなど、誰もが羨む仲睦まじい“理想の家族”として知られていた田向夫妻。
ところが事件発生時、浩樹は1階で、友季恵と娘は2階の寝室で刺殺された姿で発見され、世間を騒然とさせた。未解決のまま1年が経過し、風化していく事件。
週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は、改めて事件の真相を探ろうと、関係者の証言を追い始める。
しかし、そこから浮かび上がってきたのは、田向夫妻の外見からは想像もできない噂の数々だった……。
貫井徳郎の傑作サスペンスミステリー小説を映画化。
週刊誌の記者田中が1年前の一家惨殺事件を追う中で見えてくる夫の田向と妻の有希恵の近所の評判とは裏腹な素顔、田向夫妻の素顔から見えてくる名門大学内の付属の高校からエスカレーター式に進学してきたセレブ学生の内部生と公立高校から進学した外部生のスクールカーストや女性同士の嫉妬とマウンティングそして女性を出世の道具や欲望の捌け口にする男性のエゴ、社会の理不尽に踏みにじられる田中と妹の光子たちの心の慟哭と足掻き、クライマックスで明らかになる事件の真相、地味に見える抑えた演出や妻夫木聡や満島ひかりなどの抑え目の演技そして自分の幸せのために利用し合い騙し騙され何かにすがって生きる人の愚かしくいとおしい生き方が印象的な傑作ヒューマンサスペンスミステリー映画です。
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