おくりびと

プロのチェロ奏者として東京の管弦楽団に職を得た小林大悟(本木雅弘)。
 しかし、ある日突然楽団が解散し、夢を諦め、妻の美香(広末涼子)とともに田舎の山形県酒田市へ帰ることにする。 
就職先を探していた大悟は、新聞で「旅のお手伝い」と書かれたNKエージェントの求人広告を見つける。
てっきり旅行代理店の求人と思い込み「高給保障」や「実労時間僅か」などの条件にも惹かれた大悟は、面接へと向かう。 
面接した社長(山崎努)は、履歴書もろくに見ず「うちでどっぷり働ける?」の質問だけで即「採用」と告げ、名刺まで作らせる。 
大悟はその業務内容が実は「旅立ちのお手伝い」であり、具体的には納棺(=No-Kan)と知って困惑するが、強引な社長に押し切られる形で就職することになる。 
しかし妻には「冠婚葬祭関係」としか言えず、結婚式場に就職したものと勘違いされてしまう。 
出社早々、納棺の解説DVDの遺体役をさせられ散々な目に遭い、さらに最初の現場では夏、孤独死後二週間経過した高齢女性の腐爛屍体の処理を任され、大悟は仕事の厳しさを知る。 
それでも少しずつ納棺師の仕事に充実感を見出し始めていた大悟であったが、噂で彼の仕事を知った幼馴染の銭湯の息子の山下から「もっとましな仕事に就け」と白い目で見られ、美香にも「そんな汚らわしい仕事は辞めて」と懇願される。
大悟は態度を決めきれず、それに腹を立てた美香は実家に帰ってしまう。
さらに、ある現場で不良学生を更生させようとした列席者が大悟を指差しつつ「この人みたいな仕事して一生償うのか?」と発言したのを聞いたことを機会に、ついに退職の意を社長に伝えようとするが、社長のこの仕事を始めたきっかけや独特の死生観を聞き、思いとどまる。 
場数をこなしそろそろ一人前になった頃、突然美香が大悟の元に戻ってくる。
妊娠を告げられ、再び納棺師を辞めるよう迫られた大悟に仕事の電話が入る。 
それは、一人で銭湯を切り盛りしていた山下の母、ツヤ子の納棺の依頼であった。山下とその妻子、そして自らの妻の前でツヤ子を納棺する大悟。
その細やかで心のこもった仕事ぶりによって、彼は妻の理解も得、山下とも和解した。 
そんなある日、大悟の元に亡き母宛ての電報が届く。
それは大悟が子供の時に家庭を捨て出て行った父、淑希の死を伝えるものであった。
 「今さら父親と言われても…」と当初は遺体の引き取りすら拒否しようとする大悟に、自らも帯広に息子を残して男に走った過去があることを告白した同僚の上村(余貴美子)は「最後の姿を見てあげて」と説得する。 
美香の勧めもあり、社長に車を借りて遺体の安置場所に向かった大悟は、30年ぶりに対面した父親の納棺を自ら手掛ける。 
大悟の目線を通して孤独死した老人の腐乱遺体を扱って臭いが取れなくて生肉を見て吐き気が止まらなくなったりなどの納棺師の仕事の厳しさや遺族の悲しみを和らげ死者が安らかに旅立つ手伝いをする真摯な祈りが込められた仕事であることを描いた前半、社長の仕事ぶりに感化され納棺師として一人前になっていく中で行きつけの銭湯の女将や自分を捨てて逃げた父親の納棺を通じて死者への敬意や死と向き合っていく中で生きる貴さを大悟の周りの人々が学んでいく後半、生と死とは何か?死に向き合って分かる生きることの貴さ(仕事終わりの大悟や社長が美味しい食べ物を貪るシーンのバイタリティ「美味いんだよな、困ったことに」)、そして死とは悲しみだけでなくやすらぎやもう1つの始まりであるということを伝えてくれる傑作ヒューマンドラマ映画です。

daiyuuki 全身当事者主義

全身当事者主義。ワーキングプアや毒親やブラック企業などのパワハラやモラハラに苦しみ戦い続けてきた立場から書いた、主にメンタルヘルス、LGTB、ヘイトスピーチ、映画やライブのレビューなどについてのアメブロの記事から、厳選して共有していきたい記事だけ、アメブロと連携します。 クリエイターリンクは、こちら↓ https://lit.link/daiyuuki

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