永い言い訳 鬼才・西川美和が描く人を愛することの難しさと素晴らしさ

人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(きぬがささちお)(本木雅弘)は、妻(深津絵里)が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。
その時不倫相手(黒木華)と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。
そんなある日、妻の親友の遺族―トラック運転手の夫・陽一(竹原ピストル)とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。
保育園に通う灯(あかり)と、妹の世話のため中学受験を諦めようとしていた兄の真平。
子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝き出すのだが、科学館の実験教室をやっている鏑木(山田真歩)の家で陽一の子供を預かることになり、生き甲斐を奪われ新しい生活に踏み出した陽一に嫉妬したことから心にもないことを幸夫は言ってしまう。
妻の死と向き合えない幸夫と陽一に、明日は来るのか?
西川美和が自作の小説を映画化した傑作ヒューマンドラマ映画。
広島カープの鉄人衣笠と同姓同名であることがコンプレックスでひねくれて自分の遺伝子を残したくないくらい自分が嫌いでいたが陽一の子供の世話をしていく中で生き甲斐を取り戻していく衣笠を人間味たっぷりに演じた本木雅弘、自分の感情に正直な陽一を演じた竹原ピストルふたりの妻の死の向き合えないもどかしさ、子供から洗濯物の畳み方を幸夫が教わったり一緒に料理したり幸夫と子供の不器用ながらリアルな交流、妻の死を引きずり子供の悩みに向き合えない陽一の不器用さと自分の悩みに向き合えない父親に対する真平の苛立ち、マスコミの前では悲劇の夫を演じながら妻が死ぬ前に「自分は夫を愛していない」とメールを作成したことに対しての怒りから妻を悼むことが出来ない幸夫のもどかしさ、「人は強いし弱い」「愛する人を簡単に離すな」人を愛することのもどかしさと素晴らしさを描いた傑作ヒューマンドラマ映画です。

daiyuuki 全身当事者主義

全身当事者主義。ワーキングプアや毒親やブラック企業などのパワハラやモラハラに苦しみ戦い続けてきた立場から書いた、主にメンタルヘルス、LGTB、ヘイトスピーチ、映画やライブのレビューなどについてのアメブロの記事から、厳選して共有していきたい記事だけ、アメブロと連携します。 クリエイターリンクは、こちら↓ https://lit.link/daiyuuki

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