コーダ あいのうた
豊かな自然に恵まれた海の町で、両親フランク(トロイ・コッツァー)とジャッキー(マーリー・マトリン)と兄レオ(ダニエル・デュラント)と暮らす高校生ルビー(エミリア・ジョーンズ)は、家族の中で一人だけ耳が聞こえる。
ルビーは幼いころから、聾唖であることを恥じず陽気で優しい家族のために通訳となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
新学期、ルビーは秘かに憧れるクラスメイトのマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と同じ合唱クラブに入部する。
顧問のベルナルド先生(エウジェニオ・ダーベス)から歌の才能を見出されたルビーは、都会の名門バークレー音楽大学の受験を強く勧められる。
しかし、ルビーの歌声を聴くことができず、娘の才能を信じられない両親は、家業の方が大事だと大反対する。
ルビーは悩んだ末、夢よりも家族の助けを続けることを選ぶが、父は思いがけない方法で娘の才能に気づき、意外な決断をする……。
サンダンス映画祭4冠に輝き、映画祭史上最高額の約26億円で落札されたヒューマンドラマ。仏映画「エール!」のハリウッドリメイク版。
《第94回アカデミー賞®<作品賞>含む、主要3部門受賞!【作品賞・助演男優賞:トロイ・コッツァー・脚色賞】》《サンダンス映画祭史上最多4冠!【グランプリ・観客賞・監督賞・アンサンブルキャスト賞】》
この映画のテーマは、聾唖の両親とヤングケアラーの娘との関係が、大きな音で鳴る音楽を振動で聴くのが好きなフランクと周りの人のズレなど聾唖と健常者の僅かなズレを日常生活やの中を描きつつ、聾唖の両親を大切に思っていているけどやりたいことが出来ないし家族から離れることを恐れていてモヤモヤを抱えているルビーと耳が聞こえるルビーを頼りにしながらも自分たちがルビーを家族に縛っている罪悪感を抱える両親の心情をストレートに感情をぶつけ合う手話のやり取りの中で丁寧に描いている。
家族の世話をすることが重荷や鎖になっていながらも、自分の気持ちや才能を上手く解き放てないルビーが、合唱クラブの顧問ジェラルドことV先生が型破りな指導をルビーにすることで、知らず知らずのうちに抑え込んでいた歌の才能だけでなく年頃の女の子たちのように恋したりしたい気持ちを解き放ち好きな音楽の道を選ぶ成長譚になっている。
音楽が、聾唖の両親と娘のルビーに溝を生むものだが、両親とルビーの家族として理解し合う重要なアイテムとなっているのが、全体的に音楽に頼らない抑制的な演出、中盤のルビーが参加する学園祭での発表会で突然無音になる演出や父フランクが彼なりの方法でルビーの歌を聴くシーンなどが、より両親とルビーの心情が痛切に描かれていてストレートに響いて泣ける。
音楽を通して心通わせていくマイルズとルビーの恋、おせっかい過ぎてウザがられながらも娘ルビーが大好きな両親とおせっかいな両親をウザく思いながらも大好きなルビーのほっこりする親子愛、劇中でキャラクターの心情を表現するジョニ・ミッチェルなどの名曲が心を打つ、ユーモラスで心温まるヒューマンドラマ映画。
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