「スシローと不愉快な仲間たち」第1話スシロー、「年金100年安心」の斬新過ぎる解釈を語るの巻
金融庁の「年金に頼るな、老後は自分で2000万円貯めておけ」報告書をきっかけに再浮上した年金問題。担当の麻生太郎財務相が「政府とスタンスが異なるから、報告書を受け取らない」などと強弁したのを筆頭に、政府・自民党は報告書をなかったことにし、年金制度の破綻を隠蔽しようと躍起になっている。そして、14日にはとうとう報告書を出した金融庁に謝罪をさせた。しかし、安倍政権が今頃になっていくら必死でごまかしても、政府が共通認識として「年金は下がり2000万円赤字になる」「自助努力でなんとかしろ」と考えていることには変わりはない。むしろ、この期に及んで報告書をなかったことにし、制度破綻を隠蔽しようとしていることこそが、国民に対する背信行為だろう。しかも、今回の年金問題をめぐっては、もうひとつ指摘しておかなければならないことがある。それは、金融庁が老後の自助努力、資産運用を薦める報告書を出した裏に、年金制度の“元締め”である厚生労働省の“年金給付引き延ばし”戦略があったことだ。報告書を作成した金融庁のワーキンググループには、厚労省年金局の課長も出席。年金が下がることを認めて、私的年金などの資産運用の必要性を語ると同時にこんな発言をしていた。「公的年金は、ご案内のように、65歳の支給を現行であれば70歳まで繰り下げることができ、その場合の増額率は42%となっております。高齢期の就労期間の延伸を年金制度上も反映するとともに、より柔軟な受給のあり方について公的年金サイドで検討を進めております」「例えば公的年金のかわりに、まずは私的年金を充て、公的年金を繰り下げ、または一部繰り下げるということも可能になる」 現在の年金制度では年金開始年齢は原則65歳だが、60〜70歳までのあいだで本人が選択することができる。65歳より早く給付を受けることを「繰り上げ」、65歳よりあとに給付を先延ばしすることを「繰り下げ」というが、いま、厚生労働省は、給付を抑えるために、国民に繰り下げ、つまり「給付先延ばし」を選択させようと、必死になっている。厚労省が金融庁に全面協力し、データの提供や年金局課長が出席してアシスト発言を行っていたのも、そのためだったのである。厚労省は年金給付引き延ばしのために、詐欺的な手口まで使っている。典型的なのが、65歳の年金開始月に日本年金機構から送られてくる年金請求のための手続き書類だ。まずは「年金請求書」とうよばれるハガキ。年金を繰り下げせずに65歳から給付を受けたい人が申し込むものだが、そもそも、このハガキには、仰天のカラクリがある。もしハガキを出さないと、自動的に繰り下げ=引き延ばしになってしまい、改めて手続きしないと年金の給付を受けられないというのだ。公的なお知らせは、つい放置してしまいがちな人も少なくない。これはもはや、給付開始年齢を遅らせているようなものではないか。もっとも、このハガキのシステムは以前かららしいが、これに加えて今年度からさらにとんでもない書類が同封されるようになった。それは繰り下げ=給付引き延ばしを煽るチラシだ。金融庁のワーキンググループで厚労省年金局課長が発言していたのと同じ「受給年齢を繰り下げると年金は増額できます。70歳で最大42%UP」というキャッチコピーが、バーゲンセール広告まがいの大きな文字で打たれ、年金開始を遅らせれば遅らせるほど増額されることを示すグラフが描かれている。 これを読めば「42%も増えるならお得かも」と考えてしまいそうだが、騙されてはいけない。70歳から年金を開始した場合、65歳から開始した場合と比較して「得」が出るのは82歳からだ。それまでに死んだらマイナスになってしまう。ようするに、年金の給付を遅らせて、給付額を抑制したい国の作戦なのである。さらにもっと詐欺的な手口に満ちているのが、〈「年金請求書」の記入のしかた〉と題された3つめの書類だ。前掲の年金請求書のハガキを記入するための説明書で、今年度からリニューアルされたのだが、露骨に繰り下げ=給付引き延ばしに誘導するものになっているのだ。
年金制度が、定年退職後の生活を下支えする力が無くなり形骸化したものになっていることを熟知しているのは安倍政権応援団の御用ジャーナリスト田崎史郎氏も同じで、6月13日放送の「ひるおび」でいつものように野党からの「年金100年安心はウソっぱちか?」という批判を「年金100年安心は、年金が満額安心してもらえるという意味ではなく、年金制度が100年続くという意味」などとアクロバティックな擁護をした後、「実は年金は65歳からもらっている」「金融庁が指南するようにリスクを分散して資産運用している」と語った。金融庁や安倍政権が必死に年金制度の崩壊を隠蔽するために「年金100年安心」と強弁している裏で、安倍政権の方針に逆らってでも年金を繰り上げ受給して資産運用している御用ジャーナリスト田崎スシローの矛盾する姿は、さながら沈没寸前の船から一目散に逃げ出すネズミのようで、年金制度の崩壊寸前の有り様をまざまざと見せている。
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