杉田水脈が性犯罪被害について「女はいくらでも嘘をつく」と誹謗中傷発言
自民党の杉田水脈衆院議員が、9月25日に自民党内部で行われた来年度予算の概算要求に関する会議で女性への暴力や性犯罪に関して「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言したことが報じられている。
共同通信などの報道によれば、杉田議員は会議後に記者団に対して発言を否定。
しかし、参加した複数の関係者から発言が確認されたという。
杉田議員は26日午後に「一部報道における私の発言について」というタイトルで自身のブログを更新し、「報道にありましたような女性を蔑視する趣旨の発言(「女性はいくらでも嘘をつく」)はしていないということを強く申し上げておきたいと存じます」と発言を否定した。
しかし、共同通信をはじめ、NHK、朝日、毎日、読売、産経、時事通信など各社が「複数の出席者」や「出席者」の話として、その発言があったことを報じている。
この発言をめぐっては、共産党などの野党が辞職を求めているほか、同じく自民党の橋本聖子・男女共同参画担当相は29日の会見で「努力されている方を踏みにじるような発言で、非常に残念」など批判。党側が対処することを求めた。
こうしたなか、杉田議員に対して発言撤回と謝罪、そして辞職を求めるネット署名は12万筆を超えている。
署名を主催するのは、性暴力の根絶を求めている「フラワーデモ」主催の団体。2019年、性犯罪をめぐる無罪判決が相次いだことをきっかけに活動をはじめた。
団体は杉田議員の発言について「弁解の余地ないセカンドレイプ、ヘイトスピーチであり、国際社会の水準からも性暴力に対する認識が著しく遅れている性差別です」と指摘。「ジェンダー不平等を改善すべく努める国会議員が、率先して性差別的発言を行い、性暴力への無知を露呈することは許されるべきことではありません」ともしている。
フラワーデモでは、署名を自民党の野田聖子・幹事長代行に9月30日に提出する予定だったが、「日程調整ができない」として、署名の受取を辞退すると連絡を受けたという。代わりの日程の打診はなかった。そのため、改めた日程の調整を求めているとともに、橋本男女共同参画担当相に面談を申し込んでいるという。
しかしその後、杉田議員に対しては、自民党の下村博文・政調会長が事情を聴取していたほか、与野党からも批判が相次いでいた。
杉田議員がブログを更新したのは10月1日。発言を否定した自身のブログ投稿を「一部訂正を致します」とし、「改めて関係者から当時の私の発言を精査致しましたところ、最近報じられている慰安婦関係の民間団体の女性代表者の資金流用問題の例をあげて、なにごとも聖域視することなく議論すべきだと述べる中で、ご指摘の発言があったことを確認しました」と一転して発言を認めた。その上で「女性のみが嘘をつくかのような印象を与えご不快な思いをさせてしまった方にはお詫び申し上げます」と謝罪した。しかし、発言自体に女性を蔑視する意図はなかったと釈明。
「民間委託の拡充だけではなく、警察組織の女性の活用なども含めて暴力対策を行なっていく議論が必要だということ」と説明した。また、非公開な会議の場での発言が、出席者の証言によって報道されたことを意識したのか、ブログでは自民党の部会について「忌憚のない意見、ひるまずに正面からなされる議論を担保するために『非公開』とされていると伺っております」とクギを刺すような一文もあった。
報道では、杉田議員は「女性への性暴力に対する相談事業について、民間委託ではなく、警察が積極的に関与するよう主張」(共同通信・9月25日)したとされ、複数のメディアがこれは性暴力被害者のための「ワンストップ支援センター」を全国で増設する方針を説明した際の発言だったと報じている。杉田議員が発言を否定したブログでも、杉田議員が相談事業に警察が積極的に関与するよう求めていることがわかる。
まったく支援現場のことをわかっていない人の発言だと感じる。
性暴力被害者のための「ワンストップ支援センター」は、現在47都道府県に最低1カ所はある。被害に遭った人が、医療や法的な支援を一括で受けるためのセンターであり、2010年に大阪で24時間ワンストップ支援センターSACHICOがスタートしたのを皮切りに、2018年に各都道府県に最低1カ所という目標を達成した。
まず、杉田議員はブログで「警察の関与と連携は不可欠であると考えています」と書いているが、すでにワンストップ支援センター(以下、ワンストップ)では、警察と連携が進められている。
性暴力被害に遭い、すぐに警察へ連絡できる人ばかりではない。ワンストップで精神的なケアや法的支援を受けてから警察へ相談できる人もいる。一方で、警察に相談したあとで、警察からワンストップで支援を受けることを勧められる場合もある。
たとえばSACHICOでは、2010年~2018年までの間に支援を受けて警察へ通報した人は、相談者のうち43.5%に上ったという。
一方、平成29年内閣府調査によれば、「無理やり性交等された被害経験」があると答えた男女のうち、警察に相談したと答えた人はわずか3.7%(女性2.8%、男性8.7%)。警察に相談できる人の少なさを考えれば、ワンストップなどの支援機関がいかに必要であるかは明らかであるし、警察への相談件数を増やすためにもさらにワンストップが必要であることは明らかなのだ。
「民間の相談所に相談をして『気が晴れました』で終わっては」という書き振りは、専門的な包括支援機関であるワンストップの取り組みを、あまりにも軽視している。医療機関、警察、支援弁護士などのサポートにつながることができる機関であるから「ワンストップ」なのだ。
ただ、始まったばかりの取り組みであるため、ワンストップの質について地域差があり、各専門機関との連携もまちまちであることはこれまでも指摘されている。ワンストップがさらに質・量ともに拡充していくためには予算が必要だ。杉田議員は、男女共同参画の要求額の中でも「女性に対する暴力対策」への比率が高かったことにご立腹のようだが、そうであるならなおさら、支援現場で何が問題となっているかを把握してから発言してほしい。
また、「警察の中に相談所を作り」とあるが、各都道府県警察では性犯罪被害の専門相談窓口があり、2017年8月からは、全国共通の短縮ダイヤル「#8103」の運用が開始されている。#8103にかければ、最寄りの各都道府県警の性犯罪被害相談窓口につながる。また2020年10月1日から、全国共通短縮番号#8891が運用開始している。杉田議員は、警察の中に相談窓口がないと思っているのだろうか。聞いてみたい。
前述の通り、各都道府県に最低1カ所ずつワンストップ支援センターができたのは最近のことだ。2018年10月に奈良県で「NARAハート」が開設され、これで全都道府県全てに1カ所以上のワンストップが設置されることになった。
このことに驚きはないだろうか?
内閣府調査によれば、女性の13人に1人、男性の67人に1人が過去に無理やり性交された被害経験があると答えている。被害はあるにもかかわらず、ケアを受けられる場所は非常に少ない。
国連は女性の人口20万人につき1カ所のワンストップ支援センターが必要と提唱しており、その基準では日本には300カ所以上が必要だが、2019年1月時点での弁護士会調べによれば全国に54カ所、そのうち行政が関与する(性犯罪・性暴力被害者支援交付金が出ている)ワンストップ支援センターは、47都道府県に49カ所。日本は性被害の認知件数が少ないから……というのは順序が逆である。被害者が相談できる場所が少ないのだから、警察が認知する被害件数が少なくて当然だ。2019年1月に行われたイベント「医療の現場からみた『性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの現状と課題』」の中では、パネリストが「通報されるレイプ被害は2~3%。もし窃盗被害の2~3%しか警察が対応できないのだとしたら大変恥ずかしいこととなるはず」と発言していた。
病院拠点型ワンストップセンターの少なさなど、課題は多い。以前、ある被害当事者はあるジャーナリストに「傷だらけで血を流しているのに、治療してくれる場所がどこにもない状況」と語った。中長期的支援を受けられる機関も少なく、メンタルクリニックの中から性被害者に理解のある場所を自分で探し出さなければならない被害当事者も少なくない。日本の性被害支援状況は、まだじゅうぶんに整っていない。また、これまでの数十年間でDVや性被害者を支援してきたのは、主に女性たちの草の根の運動だった。ようやく国が気づき目を向け始めた支援について、議員の立場にいる人が無知や偏見を振りかざさないでいただきたい。
杉田議員はこれまでも、人権意識に欠けた、差別的な発言を繰り返してきた。
「新潮45」2018年8月号に寄稿した文章「『LGBT』支援の度が過ぎる」では、「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」などと持論を展開。批判が相次いだ。自民党は「個人的な意見とはいえ、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある」と公式サイトに掲載し、本人にも指導した。
また、元TBS記者から性行為を強要されたと訴えているジャーナリスト・伊藤詩織さんについてBBCの番組で「女として落ち度がある」と言及。伊藤さんは、杉田氏が自身を誹謗中傷する複数のツイートに「いいね」をしたとして、損害賠償を求めて東京地裁に提訴している。
このほか、待機児童問題やシングルマザー支援、選択的夫婦別姓などについての発言でも物議を醸したことがある。
今回は、性犯罪被害者が警察にすぐ駆け込み被害を訴えられず、婦人科などに駆け込むなど、性犯罪被害を受けた時に、110番のようにすぐ通報したり出来る制度が確立していないために証拠保全したり精神的なケアが必要な被害者も通報出来ず、被害の訴えられていない潜在的な性犯罪被害者の数いわゆる暗数が性犯罪被害者に多い現状を鑑みて、2017年8月から全国共通の相談ダイアル#8103の運用が開始され全国の元寄りの都道府県警の性犯罪被害相談窓口に繋がり精神的なケアや被害の証拠保全やアフターピルの処方など医療的支援や被害の告発に関する法的支援まで包括的支援をするワンストップ支援センターの内容に無知なため、ワンストップ支援センターと各都道府県警察と既に連携しているのに連携が必要だと発言したり、ワンストップ支援センターが単なる駆け込み寺のように勘違いしていたり、何故男女共同参画に関する予算で性犯罪被害者の為のワンストップ支援センターの拡充の枠が多額なのか理解せずに、杉田水脈議員特有のマイノリティに国家の予算を使うことが弱者ビジネスに思える僻み根性や邪推が先行してこのような無知蒙昧な発言をしてしまった。
杉田水脈議員は、これまで支援を求めるマイノリティを踏みつける差別発言を繰り返しても形だけの謝罪をして議員でいられるのは、安倍晋三が杉田水脈議員の思想に著書を後援会の名義で買い上げるくらい感銘して選挙の際は中国地方の比例区の候補者リストに杉田水脈を加えて自民党に投票する人がいる限り議員でいられる優遇された地位にいるから。
日本維新の会から分裂した次世代の党に在籍していた杉田水脈が、2017年の総選挙で次世代の党が惨敗し解散して在野の活動家として雌伏の時期にいた頃、従軍慰安婦の問題などで極右的発言をする杉田水脈に注目したのが同じく極右的思想の青林堂の社長で杉田水脈が初の著書を青林堂から出版して若手気鋭のネトウヨとして悪名を売り、それに注目した安倍晋三が杉田水脈を自民党中国比例区公認候補に据えた。
表向きは男女共同参画など「女性が輝く日本」などとスローガンを掲げていても、自民党の本質は杉田水脈が掲げるアンチLGBTアンチフェミニストアンチ生活保護にあると、勘繰られても仕方ない。
自民党政権下では、男女共に輝く時代は遠くなるばかりと、ため息が出る。
0コメント