安倍元首相襲撃事件 山上徹也が恨んだ「宗教」と「カネ」
手製の銃を発砲し、安倍元首相に致命傷を負わせた山上徹也容疑者(41)は、殺人未遂の容疑で現行犯逮捕された後、殺人容疑に切り替えられて捜査を受けている。
あまりにも突然の出来事。間近に控えた参院選の応援演説のさなか、白昼堂々と行われた凶行は、日本の「安全神話」を根本から覆した。
山上容疑者は警察の取り調べに淡々と応じているという。
「安倍元総理がある宗教団体と繋がっていると考え、犯行に及んだという内容の供述をしているといいます。犯行に使った銃も、もともとはこの団体のトップを狙うためのものだったそうですが、接触が難しかったため、矛先を安倍元首相に向けたとされています」(全国紙社会部記者)
容疑者を犯行に駆り立てたのは「宗教」だったのかーー。
「容疑者はその宗教団体を恨んでいたそうです。母親が宗教団体の信者で、決して裕福とはいえなかったのに、団体にのめり込み多額の献金をし、ついには2002年ごろ、自己破産するまで追い詰められてしまった。そのため、家庭をめちゃくちゃにした宗教を憎んでいたとみられます」(前同)
山上容疑者は「宗教団体のメンバーを狙おうとしたが、難しいと思い、安倍元総理を狙った」と報じられてきたが、この宗教団体は、旧・統一教会(世界平和統一家庭連合)である。
かねてより霊感商法や集団結婚で話題になってきた新興宗教だ。
山上容疑者は「自分の母親が統一教会の信者で、安倍晋三が統一教会と親しいと知って狙った」と供述している。
なぜ山上容疑者は、統一教会と安倍氏と接点があると考えたのか?
統一教会系の政治団体「国際勝共連合」は、1968年に創設された保守系グループであり、自民党の保守系議員とも密接な関係があると言われる。
ネット上では、かねてより安倍氏と勝共連合の関係が取り沙汰されてきた。
戦後、米国がSCAP(GHQ)による敗戦国・日本の占領政策を行うにあたり、既に始まっていた米国とソビエト連邦との間の冷戦構造に対して、東アジアの共産化を防ぎ、民主主義陣営につなぎ留めておく必要が生じた。
そして、占領下における日本の反共産党対策のために、当時の韓国の情報部門「KCIA」から後援を受ける形で統一教会が「国際勝共連合(勝共連合)」を創設したのは、1968年1月(一説には1966年9月)にさかのぼる。
1968年1月、統一教会の教祖・文鮮明が安保闘争で左翼学生運動に悩まされていた岸信介らの協力を経て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を設立して以来、反共産主義で結びついた統一教会と自民党は強大なマンパワーと資金力を利用し合う関係となった。
宗教ジャーナリスト鈴木エイトによると、北朝鮮に強行姿勢の安倍晋三は統一教会に距離を置いていたが、2013年頃から長期安定政権を目指すため統一教会に近づいた。
統一教会が、霊感商法で悪名を轟かせた後、霊感商法被害者弁護士会が改名に反対していた時、改名を許可するよう根回し、統一教会を公安部の要監視団体から外すよう圧力をかけたりしたのが安倍晋三だった。
安保法制の改定時期に、野党に後押しされた学生団体SEALDSに対抗するため統一教会の子弟で構成された学生団体「勝共UNITE」を立ち上げ、安倍政権を統一教会は後押しした。
国際勝共連合の運動方針には「共産主義の脅威から我が国を守る」とありますが、その他にも
・ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止
・「選択的」夫婦別姓に潜む共産主義の索道を阻止
・男女共同参画基本法の改廃
・憲法改正
・緊急事態宣言基本法の制定
・スパイ防止法の制定
・日本版NSC(国家安全保障会議)の設置
・集団的自衛権の行使容認
・非核三原則の改廃
・武器輸出三原則の改廃
・防衛産業を成長戦略に盛込む
・宇宙の軍事利用を促進
などなど、安倍前総理を輩出した「清和会」に実に近い思想となっている。
日本会議や神道政治連盟にも通じるところがある。 安倍政権の政策のベースに、勝共連合の思想があるのは間違いない。
おそらく国会議員の中には、日本会議、神道政治連盟、国際勝共連合(統一教会:家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)どれとも接点がある人も、保守勢力にはいる。
ネット上では、統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)主催の各地イベントに、自民党議員が参加しているという記事をよく見かける。
統一教会と敵対関係にある日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」では、昨年9月12日、旧統一協会系の天宙和連合(UPF)の集会に安倍氏がオンラインで出席し、「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」と発言した模様を報じている。
保守系政治家の雄であった安倍氏と統一教会との接点は、かねてより永田町関係者では公然の秘密だった。
たとえば安倍氏と近いある参議院議員の場合は、「統一教会丸抱え」と言われるほどの密接の関係にあり、統一教会幹部も「あの議員はうちの票で当選できている」と認めるほどだった。
今回の参院選では、自民党候補として第一次安倍政権(2006年から07年)で首相秘書官を務めた井上義行さんや同党候補の山谷えり子さんに関しては、少なくともほぼ公然の「家庭連合公認候補」として明確に選挙支援が行われているという事実がある。
家庭連合の聖業の一環として、投票を具体的に促す文書も出ている。
山上容疑者の自宅では拳銃2丁以上が押収され、爆破物を複数製造していたことも明らかになった。
自宅のワンルームは火薬の匂いが立ち込め、さながら町工場のように、爆発物などの製造に使う薬品、鉄くずなどが散乱していたという。
「もともと爆発物で安倍氏を殺害しようとして製造したが、これでは無理だと銃に変更し、今年の春には完成させたと供述している。
今回使用した銃は、2つの鉄パイプを粘着テープでつないだものだった。
二度発砲ができるもので、激しい殺意が見られる。山上容疑者も、殺害するつもりだったと物静かに語っている」(捜査関係者)
「統一教会と安倍が親しいので狙った。殺してやると銃を持ち出した。ネットで毎日、参院選の予定を調べていて、奈良にきたのでチャンスだと思った」「政治的な意味合いで狙ったのではない」「自宅でこれまで、拳銃、爆発物など複数作っていた。インターネットなどから、調べて作った」などと山上容疑者は供述しているという。
山上容疑者の母親がかつて統一教会の信者であり、大量の寄付をしていたこと、おそらくはそれが理由で2002年8月21日に破産宣告を受けていることが明らかになっており、家族が崩壊したことへの何らかの恨みを統一教会と安倍氏にぶつけた可能性がある。
捜査関係者が語る。
「母親は熱心な統一教会の信者で、今も現役のようだ。山上容疑者は母親と統一教会の関係が家庭崩壊につながったと憎悪を募らせ、犯行に及んだと供述している。
母親については調べを進めているが、かなり熱心な信者であったとみられる。
犯行前日には、安倍氏が岡山県で演説をすると知り、追いかけて行っている。パソコンやスマホには拳銃、爆発物を検索した履歴がかなりある。計画的な銃撃とみられるが、意味が通じない供述もある。
「山上容疑者には厳しい家庭環境で育ったようです。親族によると、もともと父は名門大学の工学部を卒業後、自分で建築会社を経営する裕福な家庭でした。しかし山上容疑者が5歳の頃に急死。そこから一家の暗転が始まります。悲しみを和らげるためか、母はある宗教団体にのめり込み、お金の使い込みが激しくなっていったのです。山上容疑者の祖父の死後、母は祖父が経営していた会社を引き継ぎましたが、その金も宗教団体に使い込んでいきました」
結果として、山上容疑者の母は2002年、自己破産をするまでに追い込まれてしまう。
山上容疑者の母が所属していた宗教団体への恨みは相当根深かったようだ。
現職の政治家、それもいまだ自民党内で権勢を振るう、最大派閥の長でもあった安倍元総理を公衆の面前で射殺したのは、奈良市在住の山上徹也容疑者(41)だった。
当人は警察の取り調べに、「母親が統一教会に多額の寄付をして家庭が崩壊した」「(創始者の)文鮮明がアメリカで有罪判決を受けたため、(妻の)韓鶴子を狙っていた」「コロナで韓鶴子が来日できないので、標的を変えた。統一教会と関係の深い岸信介の孫を狙った」と供述しているという。
安倍元総理は祖父の岸信介元総理とともに教会との関係の近さが報じられたことがあり、関連団体の式典に祝電を送ったことも。
これらの供述から分かる通り、徹也が歪んだ殺意を抱くようになった背景には「宗教」があった。その履歴をたどると、彼の人生を大きく左右したのは宗教にのめりこんだ実母(69)の存在、さらには家族を次々と襲った「自殺の連鎖」であった。
徹也の父親は、大阪市内でもトップクラスの進学校、府立天王寺高校の出身である。卒業後、京都大学工学部に進学し、土木を専攻。大学を1970年に卒業すると、大手建設関連会社などに勤め、大阪や千葉などを転々としながら、70年代末に奈良に本社を置く建設会社に入社する。
それと前後し、徹也の父は妻となる女性と籍を入れるのだが、彼女は建設会社の社長の娘であった。
実はこの社長、すなわち徹也の母方の祖父も父とは別の大阪府内の大学の土木科を卒業していた。そして、63年に建設会社を設立。徹也の父は入社後、ヒラ社員から工事部長を経て、最終的に取締役にまで出世している。
70年代末から80年代前半にかけて、夫妻は徹也本人とその兄と妹を含む3人の子をもうけた。
当時、家族が居を構えていたのが東大阪市内の木造2階建ての一軒家。母方の祖父が所有する25坪ほどの土地に建てられた、小さくしかしどこか不気味な家だった。
近隣住民が言う。「山上さんね、もう40年くらい前ですけど、よう覚えていますわ。よく怒鳴り声が聞こえる家やったんですよ。お父さんがお母さんを怒鳴りつけてね、呂律も回っていなかったから、たぶん、お酒飲んでいたんやろうな。外から見える家の洗い場なんかも散らかっていてね……」
一家を知る知人が当時の家族の異様な光景について語る。「実はお母さんが『朝起(あさおき)会』という宗教にはまっていたんです。周囲を勧誘することはなかったのですが、子育てをほっぽらかしにしていて、その宗教の集まりがあるからと、朝の5時とかに出かけてまうんです。当時、2歳か3歳かの男の子が冬も裸足で家の外に出てきて、泣きながら母親を探してるんですわ。ご主人もなんもせんとね。おしっこやうんちで重くなったおむつをはいているから、半ケツ状態で可哀そうでした」
彼女が子育てを放棄してまで通っていた朝起会とは、戦後まもなく設立された実践倫理宏正会のことである。
創始者は上廣哲彦。現在は3代目が会長を務め、朝起会と呼ばれる早朝の活動をメインに会員数は400万人を超えるといわれる。
宗教事情に詳しい記者によれば、「大阪だけでも支部は70ほどあります。朝起会では、『朝の誓』の言葉を唱えるなど、生活倫理を実践する社団法人ということになっており、宗教団体であることを否定しています。しかし、事実上の宗教ではないかと指摘する声もある」
実践倫理宏正会の東京本部の担当者は、「(母親の)会への在籍は過去を含め、一切なく、朝起会に参加したこともございません」
しかし、と先の知人が裏事情を教えてくれる。
「旦那さんの勤め先は奥さんのお父さんが経営している建設会社でしたね。でも、奥さんが相当宗教に入れ込んでしまったみたいで、旦那さんはノイローゼやったようです。最後は近くのマンションから飛び降りて自殺しはってね、それは近隣で話題になりましたわ。それから1年と経たず、一家は引っ越していかれました」
自殺した場所は当時の自宅から歩いて5分ほどの距離にある79年築の12階建てのマンションだった。周囲では一際高い建築物だったため、度々飛び降りがあったという。
父を亡くした一家が身を寄せるのが、奈良市内にあった祖父が住む一軒家だった。
すでに祖母は他界しており、ほどなく、母は父に代わり同社の取締役に就任。経理を担当するように。
彼女が以前にもまして宗教にのめり込むようになるのは、これ以降のことだった。
安倍晋三元首相が奈良市で銃撃され死亡した事件で、無職山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が事件前日、安倍氏の殺害をほのめかす手紙を中国地方に住む男性に送っていたことが17日、分かった。
手紙には母親が入信する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みを記述。
安倍氏を「本来の敵ではない」としつつも「最も影響力あるシンパ」とし、「もはや死の影響を考える余裕はない」と襲撃を示唆していたという。
男性は実名で統一教会の活動を批判するブログを運営しており、手紙はブログに載せていた住所に届いた。
山上容疑者は7日に岡山市内の安倍氏の演説会場周辺を訪れながら襲撃を断念したことが分かっており、消印から、手紙は会場に着く前後に同市内で投函(とうかん)されたとみられる。
男性によると、A4用紙1枚に印字した手紙と山上容疑者の親族らが教会側と交わした合意書のコピーが同封され、合意書には同容疑者の氏名も記載されていた。
「因縁は30年前にさかのぼる」と書き出し、「母親の入信から、億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産」と自身の生い立ちなどを振り返った上で、「私の10代は過ぎ去りました」と深い恨みをつづっている。
襲撃については「銃をせっせと作っている」「(統一教会創始者の)一族に死んでもらうつもりだったが難しい」などの記述があり、安倍氏に関しては「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではない。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人にすぎません」とした。
その上で「安倍(元首相)の死がもたらす政治的意味、結果。もはやそれを考える余裕は私にはありません」と追い込まれた心情を吐露している。 手紙の内容は山上容疑者の供述とおおむね一致する。
同容疑者は奈良県警に「団体トップを狙っていたが、新型コロナウイルスの影響で来日しなかった」と標的を変えた経緯を話しており、事件で教会への批判を喚起しようとした可能性もある。
9日午後、安倍首相の亡骸は無言のまま自宅に戻った。選挙が終わった11日に通夜、12日に葬儀が行われる。
銃撃事件から1日経った9日、現場には多くの市民が献花に訪れ、手を合わせていた。
山上容疑者にとって、宗教は愛や救い、平安をもたらすものではなく、罪と憎しみ、そして悲しみを与えたということなのだろうかーー。
自民党幹部は語る。「最大派閥、安倍派を牛耳る安倍氏が亡くなった、次のリーダーがはっきりしない安倍派は迷走するかもしれない。これまで安倍派だった下村博文、西村康稔、世耕弘成、萩生田光一といった有力者は、みな安倍氏がいるから大人しくしていた。だが、その軛が外れると大変だ。岸田政権の誕生は安倍氏と麻生氏のタッグのおかげだったが、そこにひびが入れば、岸田氏もウカウカしていられない状況になる。参院選は安倍氏の銃撃で同情票がくるので圧勝だろうが、党内抗争になる可能性がある」
不安のおさまらないなか、10日の投開票日はどうなるだろうか。
自民党と統一教会は、ズブズブ😡
山上容疑者の手紙
山上容疑者のツイート
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