護られなかった者たちへ 東日本大震災、生活保護、連続殺人事件、誰を護りたかったのか?

東日本大震災から10年後、仙台市の社会保健福祉事務所課長・三雲忠勝(永山瑛太)や三雲の上司の城之内(緒方直人)が、全身を縛られたまま "餓死" させられるという不可解な連続殺人事件が発生。
三雲や城之内は公私ともに人格者として知られ、怨恨が理由とは考えにくいが、物盗りによる犯行の可能性も低く、宮城県警の刑事・笘篠(阿部寛)らの捜査は暗礁に乗り上げる。 
捜査線上に浮かび上がったのは、過去に起こした放火事件で服役し、仮釈放が認められ出所したばかりの利根(佐藤健)という男。 
刑事の笘篠は、三雲と利根の間の関係を三雲の部下のケースワーカーの円山幹子(清原果耶)の協力の元で掘り下げていく中で、生活保護申請上のトラブルがあったと推測し利根を追い詰めていくが、決定的な確証がつかめないまま、第三の事件が起きようとしていた―。 
なぜ、このような無残な殺し方をしたのか?
利根の過去に、何があったのか?
さまざまな想いが交錯する中、やがて事件の裏に隠された、切なくも衝撃の真実が明らかになっていく― 
 中山七里の新聞連載小説を瀬々敬久監督が映画化した社会派ミステリー。
第45回日本アカデミー賞11部門、第46回報知映画賞の邦画作品賞など多数の映画賞を受賞!
東日本大震災のきっかけに、宮城県では生活困窮者が倍増したが、平成23年に生活保護基本法が改正され親族への扶養照会が強化され水際作戦により生活保護申請を辞退させたり生活保護受給者のスティグマ社会的負のイメージを固定化して追い詰めることになっていて補足率が抑えられ救われない人が増えていて、国連から貧困対策をきちんとするよう勧告を受けているのに、日本は自己責任論が罷り通る現状が放置されている。
以上のことを、頭に置いて見てみてください。
家族は自分が護ると豪語していたが、東日本大震災の被害で妻子を亡くしてしまった傷を引きずっている笘篠刑事。
母から捨てられて、心を閉ざして生きてきた利根。
救うべき人を救う為、不正受給者に厳しく対する理想主義的なケースワーカーの円山幹子。
厚生省の圧力に流されて生活保護申請者に扶養照会などを使って申請を辞退させながら、震災で被害が出た墓地を自腹で直していたという矛盾を抱えた三雲。
彼らの過去や心情が、連続殺人事件をきっかけに交錯し何故連続殺人事件が起きたかが明かされ、円山幹子が子供の塾の費用を賄うためパートの収入を申告していなかった受給者を問い詰めるシーンなどを通して、困窮している人を救うはずの震災被災者生活再建支援法や生活保護基本法などの法制度が政治家や国の都合により機能不全に陥って結果的に困窮者が切り捨てられ困っている人が助けを求めることが難しい日本の貧しさが炙り出されていく社会派サスペンスの要素が強い。
社会的に追い詰められてきた利根を演じる佐藤健、上司や制度の制約に縛られながらも困窮者を救うべく奮闘してるが利根との複雑な関係と心情を抱えている円山幹子を演じる清原果耶、矛盾を抱えた三雲を演じる永山瑛太の骨太な演技が飛び抜けて見応えあり、誰が誰を護れず護りたかったのか分かった時にきっと心が揺さぶられる社会派サスペンス映画。
「死んでいい人なんて、どこにもいないんだよ」

daiyuuki 全身当事者主義

全身当事者主義。ワーキングプアや毒親やブラック企業などのパワハラやモラハラに苦しみ戦い続けてきた立場から書いた、主にメンタルヘルス、LGTB、ヘイトスピーチ、映画やライブのレビューなどについてのアメブロの記事から、厳選して共有していきたい記事だけ、アメブロと連携します。 クリエイターリンクは、こちら↓ https://lit.link/daiyuuki

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